【IoT × 農業】鳥取 若桜よもぎファームの取組み


本記事は、よもぎ栽培に弊社が開発したIoTデバイスをご活用いただいた事例です。
弊社は、よもぎの栽培自体は行っておりませんので、よもぎ栽培に関するお問合せはご遠慮ください。

鳥取県八頭郡若桜町の休耕田を活用し、安心安全香り豊かな無農薬「よもぎ」の栽培がスタートしました。
よもぎといえば、野山に自生しているものを摘んでくるイメージですが、生育を管理し最適な時期・時間帯に収穫したよもぎは、とても香りが豊かです。

よもぎ栽培
定植後2ヶ月ごろのイメージ画像

「よもぎ」について

よもぎは古来からの「もぐさ」、「よもぎ餅」等の活用以外に、健康志向の高まりにより、よもぎ茶、よもぎ蒸し、よもぎ風呂、よもぎパン、洋菓子等、新しい活用方法が広がってきており、特に無農薬国産よもぎへの需要が高まっています。

農家の高齢化により耕作放棄地が増え続け、鳥取県内では1,410ヘクタールにも達する状況ですが、一度定植すれば1年に4~5回、10年間連続して収穫できるほど生命力のある「よもぎ」は中山間地域の耕作放棄地問題解決の可能性および、比較的小規模施設でも商品加工が可能であるため6次産業化(生産→加工→販売)による収入増加が見込めます。

よもぎの無農薬栽培で最大の問題となるものは「雑草」。
雑草が発芽するのは、雨が降った後に日光が照ったとき。
そのため、降雨後から日照までに、雑草の種から発芽しないよう対処すれば、草取り作業の軽減に繋がるのではないかと考えています。

定植直後のよもぎ

IoTによる「よもぎ」の見守り

今回、栽培を行う休耕田は生産責任者宅より自動車で30分程度離れているため、毎日の現地観察が困難な状況にあります。
そこで、ソーラーパネルとIoT機器により、若桜よもぎファームの気候データ、土壌水分量に加え、カメラによる定点観測を行うシステムを構築し、自宅等の遠隔地からファームの状況を確認できるようにしました。
(気象業務法による規制により、計測データはネット公開しておりません。)
通信機器には携帯電話SIMを利用しており、電源はソーラーパネルによる蓄電システムを構築したため、屋外の広範囲にわたり設置可能です。
(今回のシステムは計測機器以外の機材接続も検討してるため、大きめのソーラーパネルを設置していますが、気候データ計測のみでしたら、小型のソーラーパネルで稼働可能です。)

若桜よもぎファームに設置したソーラーパネルとIoT機器

よもぎの生産は初めてのため、1時間毎に自動計測、保存される気温等の各種データは、除草処理のタイミング、収穫のタイミング、収量予測等、今後の生産に大いに役立つものと思われます。

IoT計測データの見える化

今回の計測は実験的要素が大きいため、極力ランニングコストを抑えるようシステムの大部分を無料サービスを組み合わせて構築しております。
若桜よもぎファームの観測データは、下図のようにグラフ化して表示します。

IoT計測データサンプル

本格的な利用を目的とされる場合には、さらに詳細なデータの収集、分析を行うシステムの構築も可能ですし、このようなシステムを複数ファーム(畑)で稼働させ、生育管理は一箇所で集中管理することで、各ファームに最適な作業指示を出すシステム構築も目指せます。
また、今回は通信経路に携帯電話回線を利用していますが、生産区画がある一定地域(数キロ範囲内)に含まれるのであれば、LoRaWAN等の独自通信網を構築することで、多数の計測ポイントを設置し、より詳細なデータを収集する等の、もう一歩進んだ活用も面白いのではないかと思います。

ほっこりよもぎ家 kizuku

よもぎの活用

予定どおり「よもぎ」が収穫できれば、2018年の夏、鳥取県若桜氷ノ山にオープン予定の「ほっこりよもぎ家 kizuku」にて、氷ノ山の大自然を眺めながらのよもぎ蒸し(冬には雪見よもぎ蒸し)や、よもぎオイルリフレクソロジーに活用され、よもぎ風呂入浴剤等の加工品販売も計画されています。
「天空のリゾート 氷ノ山」でのリラクゼーションタイムは、非日常(リトリート)でこそ味わえる特別な時間、体験になるに違いありません。

手間暇かけて育てる若桜よもぎファームの無農薬「よもぎ」、今から収穫が楽しみです!