小型デバイスのLoRa通信は何キロ通信できるか実測 4.4kmの通信に成功!


LoRaについて

LoRa通信は、誰でも通信料無料でつかえる通信です。

LoRa(Long Range)は、省電力広域ネットワーク(LPWAN)技術の一つで、特にIoT(Internet of Things)デバイス向けに設計されています。この技術は、920MHz帯を利用する免許不要の無線方式であり、低データレートでの通信に最適化されています。よって、画像などのデータ送信は難しく、センサーのデータ送信などに適しています。

LoRaの最大の特徴は、その長距離伝送能力であり、2〜15kmの範囲で信頼性の高いデータ通信を実現することが可能です。また、非常に低い電力で動作するため、バッテリー寿命を数年間に延ばすことができる点も大きな利点です

LoRa通信には、Private LoRaとLoRaWANという規格があり、今回利用したのはLoRaWANです。
LoRaWANはLoRa Allianceによって策定された標準規格で、異なるメーカーの機器同士でも通信が可能です。LoRaWANは、既に設置されているゲートウェイを使用できるため、自らゲートウェイを設置する必要がない場合があります。
一方、Private LoRaはMAC層に独自の通信プロトコルを使用し、カスタマイズが可能であり、通信ネットワークの最適化が可能ですが、ゲートウェイの購入や設置は自ら行う必要があります

センサーデバイスについて

今回利用したセンサーデバイスは、名刺サイズのGPSトラッカー「SenseCAP T1000-A」です。
SenseCAP T1000-Aは、名刺サイズのGPSトラッカーであり、屋内外の位置追跡が可能です。このデバイスは、温度、明るさ、動きなどのパラメータも観察でき、非常ボタンとブザーを備えており、単一の充電で数ヶ月間のバッテリー寿命を持つことが特徴です
大きな外部アンテナはなく内臓型です。

基地局(ゲートウェイ)について

ゲートウェイは、センサーデバイスからのLoRaWAN通信を受信し、インターネットを介してサーバーにデータを転送する役割を果たします。今回の実験では、Raspberry PiにLoRaWAN通信モジュールを搭載した自作ゲートウェイを使用しました。このような自作ゲートウェイは、既存のネットワークインフラに依存せずに、柔軟なネットワーク構築を可能にします。

今回は弊社が設置している、TTN Yazuのゲートウェイを利用しました。

通信結果

今回の通信実験では、直線距離4.4kmの地点からのデータ送信に成功しました。
発信場所が山の展望台であり、ゲートウェイまで障害物がないため、通信環境は良好でした。さらに、平地で障害物が存在する複数の地点でも通信試験を行い、そこでも通信が可能であることを確認しました。
これはLoRa通信が持つ長距離伝送能力と障害物に対する強い耐性を示しています。

直線距離RSSI備考
4.4km-112山の展望台
3.3km-105高台 田んぼ
1.9km-118平地 田んぼ 若干建築物あり
1.7km-118住宅地
1.5km-116平地 畑
500m-114住宅地