Wi-Fi HaLow( IEEE 802.11ah)はどの程度の距離まで通信可能か?実測!!


概要

IEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow)は通信速度は遅いが長距離通信が可能なWi-Fiの新しい規格です。
この規格に対応したデバイスも市場に出始めました。

弊社はLPWA通信デバイス開発をメインに行っているため、今後はWi-Fi HaLowの導入支援も拡大するものと考えています。

今回、屋外にて通信検証を行ったところ、直線距離で800m程度まで通信可能であることを確認しました。

検証用機材

本来であればWi-Fi HaLow通信モジュールを入手し検証を行いたかったのですが、現状では通信モジュールの入手が困難とのことだったため、親機(アクセスポイント)と子機(ブリッジ)を入手しました。
親機と子機間の通信がWi-Fi HaLowでの通信です。

親機の先は有線LANにてネットワークに接続、子機とGPS位置情報通知デバイス間も有線LAN接続します。
なお、GPS位置情報通知デバイスはRaspberry Pi 4 Model B にGPSモジュールを接続した単純な機器です。

親機・子機がかなり近い距離であれば、ブラウザにてYahooなどのホームページを閲覧することも不可能ではありませんが、表示スピードは遅いです。

今回の検証では、親機を建物3階の屋上に設置し、子機とGPS位置情報通知デバイスを台車でハンドキャリーしながら通信に成功するか確認しました。

弊社周辺の風景。田んぼです。

検証結果

ハンドキャリーをする際、機材を台車で運びました。地上高は60cm程度です。その状態で移動した結果が赤色のマークです。
直線距離 370m 程度までは通信できています。

その後、子機を肩の高さ程度(地上高150cm)程度まで持ち上げ移動した結果が青色のマークです。
高い位置に子機を設置したことにより、直線距離 800m 程度まで通信できました。
750m程度の地点から住宅街になるため、障害物の影響で電波状態が悪化した可能性があります。

まとめ

今回の検証で見通しのよい屋外であれば長距離通信が可能であることを確認できました。ただし、鉄筋コンクリートの建物などの障害物があると電波状態が悪化するため、都市部での屋外利用は限定されるかもしれません。

用途としては、倉庫での在庫管理、製造ラインでのデータ収集、ハウスでのデータ収集などWi-Fi HaLowの電波を遮るものが少なく広い場所での利用に向いているのではないかと感じました。

弊社としましては今回の実験を通じて、Wi-Fi HaLowにてクラウドサーバーへデータ送信する際に、安定して送信するための知見を得ることができました。

まだ、対応した通信モジュール等が少ないため、即導入は難しい状況ですが、Wi-Fi HaLowの導入にご興味のある事業者様、ぜひ、ご連絡ください。