自動配送ロボット向けRTK位置補正実験 CLASも検討中


自動配送ロボットが最高時速6kmで歩道や路側帯を走行できるよう道路交通法改正が検討されています。

ドローンによる配送の場合は障害物が少ないため比較的容易に自動操縦可能と思いますが、歩道や路側帯を走行する自動配送ロボットの場合には、人・車などの障害物や路面の状況など、様々な判断をリアルタイムに行う必要があり高度な処理が必要です。

カメラやレーザー(LiDAR)などにより走行制御する処理の前段階として、自車の位置を正確に把握する必要があります。自動車に搭載されているカーナビやスマートフォンアプリのGoogleマップなどでGPSを利用して大まかな位置を把握することはできますが、誤差が数メートルあります。

カーナビであれば数メートルの誤差はそれほど影響ありませんが、小型自動配送ロボットを正確に歩道や路側帯を走行させるためには、この誤差は大きすぎます。

そこで、GPSの信号とRTKという信号を組み合わせる事により、誤差を数センチに収めることが可能です。ただし、GPSの電波の受信状態がよい場所である必要があります。

RTKを利用するためには「基準局」を設置する必要があります。基準局は誰でも設置することは可能ですが機材費用がかかります。また、有料で利用可能な基準局もあり携帯キャリアなどが提供しています。

今回の実験では鳥取大学に設置されている基準局を利用させていただきました。

実験結果をマップに表示したものが下図です。

弊社所在地の隼Lab.駐車場にはその周囲に縁石が設置されています。その上をスマートフォンを持って歩き往復しました。同じ場所を歩いているので、往復で経路が一致するはずです。

「補正OFF」はスマートフォンのGPSのみで測定した結果です。往復でずれています。

一方、RTKにて補正した場合には往復がピッタリ一致しています。

RTKの誤差は2cmと言われておりかなり高精度なのですが「基準局」を設置する必要があります。

他に「CLAS」という補正信号を利用する方式もあります。こちらは人工衛星から送信されている信号であり基準局の設置は不要です。以前はCLASを扱う機材が高額だったのですが、最近数万円の機材がでてきました。

CLASの誤差は3cm程度とのことで、CLASでも自動配送ロボットには適用できるのではないかと思われます。