
目次
はじめに
イタリア・ナポリ大学の研究チームが、流体力学シミュレーションを駆使して「完璧な」ゆで卵の作り方を解明しました。その方法は、100℃と30℃のお湯に卵を交互に2分間ずつ、合計16回浸すというもの。しかし、この繊細な作業を手作業で行うのは、時間と手間がかかります。そこで今回、デスクトップロボットアーム「Dobot Magician」を活用し、この完璧なゆで卵調理を自動化する試みをご紹介します。
完璧なゆで卵の科学
研究チームによると、白身と黄身が理想的な状態になるためには、それぞれ異なる温度で加熱する必要があります。白身は85℃、黄身は65℃が最適とされています。一般的な沸騰したお湯での調理では、黄身が固くなりすぎてしまい、一方、真空調理では白身が十分に固まらないという課題がありました。そこで考案されたのが、100℃と30℃のお湯に交互に浸す方法です。これにより、黄身は67℃、白身は87〜100℃に保たれ、理想的な硬さに仕上がります。さらに、この方法で調理された黄身は、通常のゆで卵よりもポリフェノールを多く含む可能性があることも示唆されています。
Dobot Magicianとは
Dobot Magicianは、教育現場や軽作業での利用を想定して開発された4軸のデスクトップロボットアームです。コンパクトな設計ながら、高い基本性能を備えており、様々な用途に活用できます。より高度な作業には、上位機種であるMG400も選択肢となります。
基本仕様
- 16cm×16cmのコンパクトなスペースに設置可能
- 4軸構造で高い基本性能を実現
- 低価格ながら高い堅牢性と耐久性を持つ
用途
- STEAM教育
- ホビー
- 大学や高専などの高等教育
- 工場の軽作業
操作方法
- DOBOT Studio(付属ソフトウェア)による簡単操作
- ハンドティーチングによるプログラミング
- Google Blocklyベースのビジュアルプログラミング環境
- Python、C/C++、C#、Javaなど20種類以上のプログラミング言語による開発
拡張性
- 13個のI/Oポートを搭載
- ROS、PLC、マイクロコントローラ、Arduinoとの連携が可能
- グリッパー、真空吸着、ペンアタッチメントなど様々なエンドエフェクタに対応
教育での活用
Dobot Magicianは、世界中の多くの学校や企業で技術教育に利用されています。このロボットアームを通じて、ロボット工学やプログラミングを学ぶことができます。
今回の実装について
処理フロー
- 100℃の鍋に卵をいれる
- 120秒待つ
- 30℃の保温器に卵を入れる
- 120秒まつ
以上の処理を8回繰り返します。
実装方法
- ハンドティーチング:ロボットアームに大まかな動作を教え込みます。直接手でアームを動かすことで、直感的に動作をプログラミングできます。
- Pythonによる詳細制御:ハンドティーチングで取得した座標データを基に、Pythonを用いてより細かい動作を指示します。

まとめ
卓上型ロボットアームは、単純作業や繰り返し作業の自動化に最適です。専用の機器とは異なり、プログラミングによって様々な作業に対応できる汎用性の高さが魅力です。今後、さらにAIなどの高度な技術と組み合わせることで、ロボットアームはより幅広い分野で活躍することが期待されます。
FAQ
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ゆで卵になぜ100℃と30℃の水を交互に使うのですか?
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この方法により、白身と黄身をそれぞれ理想的な温度(白身85℃、黄身65℃)に保つことができるためです。これにより、完璧な食感のゆで卵が実現できます。
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この調理法は家庭でも実践できますか?
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理論上は可能ですが、100℃と30℃の水を16回も交互に変える作業は非常に手間がかかります。そのため、本記事ではロボットアームを使用した自動化を提案しています。
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プログラミングの経験がなくてもDobot Magicianを使えますか?
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はい、ハンドティーチングやビジュアルプログラミング環境を使用すれば、プログラミングの経験がなくても基本的な操作は可能です。
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ゆで卵調理の自動化にどのくらいの時間がかかりましたか?
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ハンドティーチングとPythonプログラミングに要した時間は30分程度です。
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Dobot Magicianで他の作業も自動化できますか?
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はい、Dobot Magicianは汎用性が高いため、他の単純作業や繰り返し作業の自動化にも応用できる可能性があります。ただし、各作業に合わせたプログラミングが必要です。