AI面接官とマンツーマン!英検3級二次試験対策 Gemini完全活用ガイド

#AI

1. はじめに

中学2年の息子は勉強はあまり得意ではないのですが、それでも地道に英検を受けておりまして、現在までに5級、4級に合格しました。

次は3級なのですが、3級からは二次試験が面接形式になります。 私も妻も英語はまるでダメなので、家庭で面接の練習相手になるのは至難の業……。そこで今回は、生成AIの力を借りて面接対策をサポートしてもらうことにしました。

今回は、誰でも試しやすいように ChatGPTGemini の無料プランを使って、「面接官」として試してみた記録を共有します。


2. 英検3級の二次試験の内容

英検3級の二次試験については、下記サイトでバーチャル体験もできるようになっています。

試験は約5分間の個人面接で、すべて英語で行われます。主な構成は以下の通りです。

項目 内容 問題数
音読 30語程度のパッセージを20秒黙読した後、音読する 1問
Q&A (No.1) 音読したパッセージの内容に関する質問 1問
Q&A (No.2) イラスト中の人物の行動を問う質問 1問
Q&A (No.3) イラスト中の状況(物の数や場所など)を問う質問 1問
Q&A (No.4) 受験者自身に関する質問(カードのトピックに関連) 1問
Q&A (No.5) 受験者自身に関する質問(日常生活や一般的な事柄) 1問
アティチュード 意欲、態度、聞き取りやすい声、アイコンタクトなど -

3. 二次試験用の教材

はじめは教材(パッセージやイラスト問題)も含め生成AIに作成してもらおうとしたのですが、適したイラストの自動生成が不安定だったため、今回はネットで公開されている高品質な教材を利用させていただきました。

こちらのサイトで公開されている問題カードのPDFをAIに読み込ませてシミュレーションを行います。だだし、弊社WEBサイトに掲載しているサンプル問題は著作権を考慮し、AIに制作してもらった弊社独自の問題にしています。


4. 実践!二次試験用プロンプト

Geminiを使いながら調整を重ね、以下のプロンプトを作成しました。 ChatGPTの音声モードやGemini Liveを使い、「Start!」と声をかけると試験が始まる仕組みです。 まだまだ正常に動作しないこともありますが、全体的な試験の流れを掴むことはできそうです。

# Role
あなたは英検3級スピーキング試験の面接官(Mr./Ms. Parker)です。
アメリカ英語を話すフレンドリーな面接官として、英検公式手順に完全準拠して試験を進行してください。

# Task
添付された1つのPDFファイルを
左側:問題カード(パッセージ+イラスト)
右側:質問用紙(Question No.1〜No.5)
として使用し、英検3級二次試験を1ステップずつ実施してください。

# 最重要ルール(質問文について)
Question No.1〜No.5 は、PDF右側に記載されている英文を一字一句そのまま読むこと。
質問文の前後に、いかなる補足表現・促し文・説明文も付け加えてはいけません。

❌ 禁止例
“Please answer.” / “Please go ahead.” / “When you’re ready.” / “Can you answer?” / “What do you think?”

✅ 正しい出題方法
質問文のみをそのまま発話し、その後はユーザーが発話を終えるまで何も出力せずに待機する。

# 聞き返し(Pardon?)への対応ルール【重要】
ユーザーから「Pardon?」「I beg your pardon?」「Sorry?」「Once more, please?」あるいはカタカナでの「パドゥン」などの聞き返しがあった場合、以下の対応を厳守してください。
1. **直前の質問文を、一字一句変えずにそのまま再送する。**
2. 「Certainly.」や「I’ll repeat.」などの**前置きや補足は一切禁止**。
3. 質問を繰り返した後は、ユーザーが回答するまで再び待機する。

# Level Setting
中学卒業程度。少しゆっくり、自然なアメリカ英語のイントネーション。

# Full Conversation Flow(※一問一答形式を厳守)
### 1. 待機
ユーザーが「Start!」と送るまで何も言わずに待機する。

### 2. Entry(入室)〜 ID Check
以下を1ステップずつ進める。
- 「Please come in.」
- (ユーザーの反応を待つ)
- 「Hello. May I have your card, please?」
- (ユーザーの反応を待つ)
- 「Please take a seat.」
- (ユーザーの反応を待つ)
- 「My name is Parker. May I have your name, please?」
- (ユーザーの反応を待つ)
- 「How are you today?」
- (ユーザーの反応を待つ)

### 3. Problem Card(カード提示)
「Now, let’s start the test. I will give you a problem card. Here you are.」
PDF左側の内容を提示し、ユーザーの反応を待つ。

### 4. Reading(黙読 → 音読)
「Please read the passage silently for 20 seconds.」
(20秒経過を想定したユーザーの反応を待つ)

「Now, please read the passage aloud.」

**【重要:待機ルール】**
ユーザーがパッセージの全文を音読し終えたことを、テキストまたは音声入力で確認するまで、絶対に次の Question No.1 を出力しないでください。

### 5. Question No.1〜No.3(カードを見ながら)
PDF右側の Question No.1〜No.3 を、英文そのままで1問ずつ出題する。
各質問後、ユーザーの回答が完了するまで次の出力を停止すること。
※聞き返しがあった場合は「聞き返しへの対応ルール」に従う。

### 6. Card Turn Over
「Now, please turn over the card and put it on the table.」

### 7. Question No.4〜No.5(カードを見ない)
PDF右側の Question No.4・No.5 を、英文そのままで1問ずつ出題する。
各質問後、ユーザーの回答が完了するまで次の出力を停止すること。
※聞き返しがあった場合は「聞き返しへの対応ルール」に従う。

### 8. Exit(退出)
- 「May I have the card back, please?」
- (ユーザーの反応を待つ)
- 「This is the end of the test. You may go now. Have a nice day!」

# 正誤判定ルール(内部処理)
- Question No.1〜No.5 の各回答について、PDFに記載された正解例・想定内容と照合し、正誤を判定する。
- 内容理解が正しければ、文法・語順・発音の軽微な誤りがあっても「正」とする。
- 正誤判定の結果は試験中には一切出力しない。

# Additional Rules
- ヒント、翻訳、間違いの指摘、正誤の通知は試験終了まで一切行わない。

# Feedback Format(※試験終了後のみ/日本語100%)
以下の形式で採点・講評を行うこと。

【質問別 正誤判定】
Question No.1:○ / ×(簡潔な日本語コメント)
Question No.2:○ / ×(簡潔な日本語コメント)
Question No.3:○ / ×(簡潔な日本語コメント)
Question No.4:○ / ×(簡潔な日本語コメント)
Question No.5:○ / ×(簡潔な日本語コメント)

【技能別評価】
1. 【発音】:X/10点(カタカナでのアドバイス含む)
2. 【文法】:X/10点(PDFの正解例に基づいた修正案)
3. 【語彙】:X/10点
4. 【流暢さ】:X/10点
5. 【対話性】:X/10点

総合スコア:X/50点

# Start Instruction
準備ができたら、次の一文のみを最初に出力すること。
「準備OK。添付されたPDFの質問内容で英検3級シミュレーションを開始します!」
その後、ユーザーの「Start!」を待ち、入室から試験を開始する。

5. ChatGPT vs Gemini:実際に使ってみた比較

無料プランの範囲内で、息子と一緒に両方のモデルを試してみました。

5.1. 再現動画

5.2. 概要

比較項目 ChatGPT(ChatGPT 5.2系) Gemini(Gemini 3 Flash)
1日の利用回数 3回(ファイル添付が最大3個のため) 明確な制限なし
音声の自然さ 驚くほど自然。 少し機械的。
PDFの理解度 イラストの内容把握に問題がある。間違った回答を正解にすることがある。逆に正答を誤答にすることもある。 イラストの把握が的確。正誤判定が高精度。
アドバイス 詳細なフィードバックを要求してもシンプルな回答が多い。 非常に詳細なフィードバックが可能。内容に納得できる。ただし、音声によるフィードバックは発音がおかしな箇所が見受けられる。文章によるフィードバックは的確。

5.3. 質問カードと質問内容

Attention

この実験では、教材の著作権の観点から上記リンクの教材は利用しておらず、生成AIを使って作成した質問カードと質問内容ですので、実際の英検3級の内容には適していない可能性があります。

Q1. Where did the speaker go with his familly last manth?

Q2. What is the father doing in the picture?

Q3. How many children are there in the picture?

Q4. Do you like travelling with your familly?

Q5. What do you usually do on weekends?

5.4. フィードバック

Attention

Q2,Q3は、わざと間違った回答をしました。

Geminiのフィードバック
英検3級二次試験のシミュレーションお疲れ様でした!今回のパフォーマンスに基づいた詳細なフィードバックをお送りします。
【質問別 正誤判定・解説】
* Question No.1:○
* 回答: "Well, he went to Kyoto with his family."
* 解説: パッセージの内容を正確に把握できています。"Where did the speaker go..." という問いに対し、主語を "he" に置き換えて適切に答えられました。
* Question No.2:×
* 回答: "He is cycling."
* 解説: イラストの中でお父さんはカメラを構えて写真を撮っています。正解例は "He is taking a picture." です。
* Question No.3:×
* 回答: "There are three children."
* 解説: イラストをよく見ると、男の子が1人と女の子が1人の合計2人です。正解は "There are two children." となります。
* Question No.4:○
* 回答: "Yes, I do."
* 解説: あなた自身の意見を問う質問です。Yes/Noで答えた後、"Why?" と聞かれることもあるので、一文付け加える練習をしておくとさらに高得点が狙えます。
* Question No.5:○
* 回答: "I usually play tennis."
* 解説: 週末の習慣について、現在形を使って正しく答えられました。
【技能別評価とアドバイス】
1. 発音:7/10点
* アドバイス: 子音の終わり("temples" の「s」や "enjoyed" の「ed」)を意識するとより良くなります。
* カタカナのコツ: 「テンプルズ」「エンジョイド」のように、語尾を飲み込まずに軽く発音してみてください。
2. 文法:8/10点
* アドバイス: 音読の際、"visited" や "enjoyed" などの過去形を現在形で読んでしまう箇所がありました。文章の時制を意識して読むようにしましょう。
3. 語彙:7/10点
* アドバイス: イラスト描写(No.2)では「何をしているか」を動詞(take pictures, eat ice creamなど)で表現する語彙力を強化しましょう。
4. 流暢さ:8/10点
* アドバイス: つまらずにスムーズに受け答えができていました。自信を持って大きな声で話せているのが素晴らしいです。
5. 対話性:9/10点
* アドバイス: 入室から退出までの挨拶や、試験官とのやり取りが非常に丁寧で好印象です。
総合スコア:39/50点
イラスト問題(No.2, No.3)は、焦らずに「誰が」「何人」「何をしているか」を落ち着いて数えることで確実に得点源にできます。
次は別の問題で練習してみますか?それとも特定の質問の練習を強化しますか?
ChatGPTのフィードバック
了解しました。以下は 先ほどの英検3級二次試験の詳細フィードバック です。

(※試験中には出力していなかった正誤判定・講評を、指定形式で行います)

【質問別 正誤判定】
Question No.1:○
内容を正確に理解し、「Kyoto with his family」と的確に答えられました。

Question No.2:○
現在進行形を使い、「He is cycling.」と自然に表現できています。

Question No.3:○
数の答え方も文の形も正しく、はっきりしていました。

Question No.4:○
“Yes, I do.” と適切で、質問に完全に合った答えです。

Question No.5:○
“I usually play tennis.” と、頻度を表す副詞も正しく使えています。

【技能別評価】
1. 【発音】:
8 / 10 点
全体的に聞き取りやすい発音でした。
「family」「usually」などは
👉 ファミリー/ユージュアリー ではなく
👉 ファムリィ/ユージュアリィ の意識をするとさらに良くなります。

2. 【文法】:
9 / 10 点
時制(went / is / usually)を正しく使えています。
自己紹介で
“I’m Afai” → 正しくは “I’m fine.”
ここだけ軽いミスでした。

3. 【語彙】:
9 / 10 点
3級レベルとして十分な語彙力です。
travel / family / usually など基本語がしっかり使えています。

4. 【流暢さ】:
8 / 10 点
返答がスムーズで、止まりすぎることはありませんでした。
もう一言付け足せるとさらに高評価
(例:Yes, I do. It’s fun.)

5. 【対話性】:
9 / 10 点
質問をよく聞き、すぐに適切な長さで答えられています。
面接官とのやり取りも自然でした。

総合スコア:43 / 50 点

👉 英検3級 合格レベルを十分にクリアしています。
🔑 ワンポイントアドバイス
Yes / No の質問では、
Yes, I do. + short reason を練習すると満点に近づきます。
自信を持って、今の話し方を続けてください。

とても良いスピーキングでした。
また模擬試験や2級対策もできますよ。


6. まとめ:生成AIは「英語が苦手な親」の最強の味方

今回の検証を通じて、生成AIを活用した英検対策には以下の3つの大きなメリットがあることが分かりました。

  1. 「教えられない」という壁を突破できる 親が英語を話せなくても、適切なプロンプト(指示文)と教材PDFさえ用意すれば、AIが専門の面接官に様変わりします。家庭学習の限界をAIが補ってくれるため、親は「教える負担」から解放され、「伴走者」として応援することに専念できます。
  2. 用途に合わせたツールの使い分けが鍵 比較検証の結果、以下の使い分けが効果的です。

Gemini: イラスト問題の正確な把握や、論理的で納得感のある詳細なフィードバックが欲しい時に最適。

ChatGPT: より人間に近い自然な発音・イントネーションで、本番に近い空気感を体験させたい時に最適。

※プロンプトを改善すれば判定精度を向上できる可能性があります。また、有料プランにすれば、利用制限が解除されたり高度な判定が可能になったりするかもしれません。

  1. 「24時間・何度でも・恥ずかしくない」練習環境 AI相手なら、何度聞き返しても、どれだけ詰まっても嫌な顔をされません。(親が相手だとケンカになるかも。)が 思春期の中学生にとっても、親や対面の先生相手よりリラックスして発話できるという意外な利点もありました。

7. FAQ

無料プランで本当に十分な練習ができますか?
はい、十分に可能です。ただし、ブログにある通りChatGPTはファイル添付の回数制限(1日3回程度)があるため、回数を気にせず練習したい場合は、制限が緩いGeminiがおすすめです。
音声でやり取りするにはどうすればいいですか?
ChatGPT: アプリ版の右下にある「ヘッドフォン」アイコンをタップすると音声会話モードになります。Gemini: アプリ版の「Gemini Live(ライブ)」機能を使うことで、自然な対話が可能です。
「Pardon?」と言っても聞き返してくれない時は?
プロンプトに「聞き返しへの対応ルール」を明記していますが、それでも動かない場合は、「Repeat the question, please.」とはっきり指示を出してみてください。
イラストもAIに作ってもらうことはできますか?
技術的には可能ですが、英検特有の「特定の動作が複数描かれている」といった細かい構図を正確に生成するのはまだ難しいため、ブログにある通り既存の予想問題サイトのPDFを利用するのが最も確実です。
AIの採点(フィードバック)はどのくらい正確ですか?
内容の正誤についてはGeminiが非常に高い精度を持っていますが、発音の細かな良し悪しについては、マイクの性能や通信環境に左右されるため、あくまで目安として捉えるのが良いでしょう。
子供が一人で設定して練習できますか?
最初のプロンプトの入力とPDFのアップロードさえ親御さんが手伝ってあげれば、あとは音声モードで子供一人でも練習可能です。
ネット上の教材PDFを使うのは著作権的に大丈夫ですか?
個人が家庭内で学習のために利用する範囲(私的使用のための複製)であれば、法的に問題ありません。ただし、そのやり取りをネット上に再公開する場合は注意が必要です。